1964年に設立された獨協大学は、法律・政治経済・医療・科学をはじめとするドイツの学問や文化を学び取り、日本の近代化・国際化に貢献する人材の育成を目的に1883年に創設された「獨逸学協会学校」の外国語教育と国際交流の伝統を受け継ぐ大学だ。「大学は学問を通じての人間形成の場である」を建学の理念とする同大学には約8,400人が在籍。外国語教育では(1)言語の運用能力を身に着ける、(2)地域の専門知識を習得する、(3)言語力と専門知識を通じて国際的な視野に立った人材を育成するーーの3本の柱を重視している。
外国語学研究科委員長を務める永野隆行・外国語学部教授にNikkei Asiaの利用方法や教材に使うメリットなどを聞いた。
— Nikkei Asia を購読するようになった経緯を聞かせてください。
私は専門分野がオーストラリアの外交などですので、(日本語の)紙の媒体も日経新聞を購読しています。シドニーに支局を持っているのは日経だけで、生の情報を得るのに最も必要ですから。そして現地記者の記事も含まれているNikkei Asiaを読む機会も多くなり、数年前に定期購読を始めました。
オーストラリアの外交や安全保障を考えると経済を抜きには語れない。経済安全保障というテーマもありますし、資源が豊富な国でもありますから。それにオーストラリアは隣接するアジアとの関係が深い国でもあります。そうなるとNikkei Asia に掲載される東南アジア関連の情報はとても重要になってきます。
— 授業で使われる記事はどんなテーマがありますか。
語学の授業ではオーストラリアに限定せず、アジアの難民の問題や留学生が抱える課題など幅広いです。環境問題や、原子力利用の問題などいろんな分野に及びます。翌週や2週間先に使う記事を探し、これが面白そうだな、と思うものを学生に配布して「これを読んでいきましょう」と進めています。それとは別に、国際関係入門の授業ではNikkei Asia を読むよう勧めています。
私自身は政治・経済、外交や安全保障の方が詳しいのでそうしたテーマが多くなる傾向もありますが、生徒の方は少し柔らかいテーマの方が反応は良いですね。留学であったり気候変動であったり。私が所属している学科が交流文化学科なので、ツーリズムも一つのキーワードになっています。人の移動への関心という意味では、オーストラリアの観光産業から移民・難民の問題まで、そうしたトピックには関心が強いと感じます。
— 授業の進め方を具体的に聞かせてください。
基本的には授業に備えて1週間前にNikkei Asia の記事を配って「読んでおいてください」と伝えるところから始まります。ただ昔と違って辞書を引いて日本語に訳す、ではなくなっている。AIの時代は、それをやらなくなっていますね。しかし、これ幸いといいますか「翻訳はAIにやってもらってよいので内容をちゃんと理解するように努めなさい」と伝えています。訳した日本語で意味が分からないものがあれば調べてもらうし、関心を引いた部分があれば、そこを調べてきなさい、と。
そうなれば記事の内容について「この記事がなぜ書かれたのか」とか「何を伝えようとしているのか」あるいは「この背景には何があるのか」と踏み込んでいける。行間を読むことも含めて、必要に応じて補足資料を足して説明するという感じですね。教える方も、その方が楽しいですよ。詳しい構文の説明よりも内容や背景など、「なぜこんなことが起こっているのか」「なぜこうした主張がされているのか」を考える方が生徒のためにもなると思います。AIのおかげですね。
— 他の英文メディアではなくNikkei Asia を使う理由は。
読みやすいですね。英語そのものが、難解な言葉を多く使っていないと感じます。それと、世界のいろんな問題を横断的に見られる利点もあります。歴史的な背景などは私が補足するにしても、掲載されるトピックは文化、社会、政治、経済などにまたがっているので、問題が領域横断的につながっているのがわかる。そうした使い方を必要としているので重宝します。
もう一つのポイントは、英語の学習意欲が高い生徒は、あまりアジアに関心が向かない傾向もある。どうしても欧米にいってしまうんです。昔からのことではありますが。私としてはアジアにも関心を向けてほしい。実際にアジア情勢は重要ですから。インド太平洋、アジア太平洋を包括するアジアの視点で詳細な分析記事を読めるのは貴重です。
まだ実践はしていないのですが、今後は読み上げ機能も(授業で)使えるのではないかと期待しています。例えば読み上げている音声を授業で流して(から説明する)とか。実際の音で聞くのは重要なので。
※肩書はインタビュー時のものです。
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